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静岡地方裁判所沼津支部 昭和45年(わ)362号 判決 1971年8月25日

主文

被告人を懲役一年二月に処する。

未決勾留日数は、全部右本刑に算入する。

この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、

一  昭和四五年八月六日午後一一時五分頃、伊東市桜ケ丘一丁目一番五号付近道路において、呼気一リツトルにつき一・〇〇ミリグラム以上のアルコールを身体に保有しその影響により正常な運転ができないおそれがある状態で、普通乗用自動車(静岡五せ七〇〇二号)を運転し、

二  自動車運転の業務に従事していた者であるが、昭和四五年八月六日午後八時三〇分頃から被告人経営の伊東市富戸伊豆海洋公園内食堂の調理場でウイスキー(ポケツトびん)一本半位を飲み、同日午後一〇時頃から同市松原丸山町の旅館橘荘で清酒四合位を飲み、同市午後一一時頃、同市南町一丁目二番二八号鎌田荘内の被告人方に帰宅しようとして前記自動車を運転して右橘荘を出発し、同市内の道路を同市岡方面から同市八代田方面に向つて時速約七〇キロメートルで進行中、酒の酔いのため前方注視が困難な状態に陥つたが、このような場合、自動車運転者としてはただちに運転を中止し事故の発生を未然に防止しなければならない業務上の注意義務があるのに、これを怠り、そのまま運転を継続した過失により、自車を道路の右側に進入させた上、進路前方道路の車道右端を同方向に向つて歩行中の中嶋照雄(当時二〇年)を約二四メートルに接近してはじめて発見し、急制動したがまにあわず、自車右前部を同人に衝突させて同人を路上に転倒させ、よつて同人をして翌七日午前三時二五分頃同市中央町一二番一〇号伊東病院において全身打撲傷、脳挫傷、肺損傷等により死亡するにいたらせ

たものである。

(証拠の標目省略)

(法令の適用)

一  判示一の事実  昭和四五年法律第八六号附則六項、道路交通法(右法律による改正前)六五条、一一七条の二・一号、道路交通法施行令(昭和四五年政令第二二七号による改正前)二六条の二(懲役刑選択)

二  判示二の事実  刑法二一一条前段、罰金等臨時措置法三条一項一号(懲役刑選択)

三  併合罪加重(右各罪)  刑法四五条前段、四七条、一〇条(重い判示二の罪の刑に加重)

四  未決勾留日数算入(八日全部)  刑法二一条

五  執行猶予  刑法二五条一項一号

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